「もうこの時期か……時の経つのは早いものだ」
そこは三日月の私室。
いつもなら筆頭近侍である三日月は審神者の傍に控える機会も多いので、昼休憩の時間以外に此処にいるのは珍しいのだが、今日は主である審神者から直々に執務室に呼ばれ幾枚かの書類を受け取って来ていたので、それらを大事に保管するべく一旦私室に戻ってきていたのだ。
主からの書類を受け取った三日月が呟いた言葉にはほんの僅かに苦悩が滲んでいた。
(筆頭近侍である以上、その大任は全うしなければならない……分かってはいるのだが……いや、私情を挟む訳にはいかぬな)
去年と同じく、今年も渡された年末年始の大まかな予定が記された書類には、今後彼らが行うべき作業が簡潔に記されている。
この本丸の審神者は刀剣男士達を平等に扱う、所謂理想的な責任者であったため、男士達の任務内容にも概ね大きな偏りが出る事はなかった。
しかしそれでも、筆頭近侍の任務は他の男士よりは遥かに多い。
その上、去年と同じく新年の誓詞を担うのも同じく三日月宗近であるという告示も記載されていた。
誓詞を行うには、一切の穢れを払い、清められた身であらねばならない。
そうなると、前回と同じく禊に身を置かなければならなくなるという事。
刀剣男士は人とは異なり、その本体は鋼で鍛えられた刀身であるが故、人よりは頑丈な身体を有している。
その上、古より怪異とも対峙してきているので、目に見えない『そういう』ものに対しても敏感だ。
しかし、敏感だからと言って油断は出来ない。
刀剣はそもそもの造られた目的は、神への畏敬の念を込めて献上されるという他に、人を斬る為でもあった。
血は穢れ。
美しく煌めく刀の刃が血に塗れても尚美しいと思われるのは、刀の誕生の目的の一つを考えると、その穢れとの相性があまりにも良いからだと言えるだろう。
だから……刀剣男士も時に血に惹かれ、穢れに惹かれる事もある……その理由を過去の改変だと嘯き、堕ちていった刀達も在る。
そんな彼らは今、『時間遡行軍』という形に変わり、こちら側の自分達と刃を交えている。
新たな年を迎えるに当たり、その一歩を踏み出す場には僅かな穢れも持ち込むこと能わず。
故に、近侍の誓詞の前に行う『禊』は別にこの本丸の近侍である三日月だけの行事ではなく、全ての本丸の近侍で執り行われている必須事案であった。
「ふむ……」
顎に手を当てて思案しているところに、私室の外の廊下を何者かが歩いてくる音が聞こえてきて、三日月はは、と顔を上げるとすぐに自分も廊下に出る。
三日月の私室は審神者の寝所に近い本丸の奥まった場所に誂えられている。
それもまた、審神者の傍に実力のある刀剣男士を置くという至極当然の配慮からのものだったが、そんな三日月の私室の隣に同じく私室を置かれているのが、大太刀の面影なのである。
何故彼の部屋がそこに設置されたのかというと、単純に三日月がそうする様に望んだからだ。
面影がその本丸を訪れた時に審神者が在籍していたら、流石にそれは筆頭である彼の意見であっても叶えられなかっただろうし、そもそも彼もそんな事を言い出したりはしなかっただろう。
本丸の要、刀剣男士達が守るべき存在である審神者の寝所の近くに、詳細も分からない余所者を近づける訳にはいかないからだ。
しかしあの時には審神者も居なかったし、本丸の中の部屋もかなりの空きがあった。
それに、実力者である三日月の隣に面影を住まわせる事は、この若者の仔細が判明するまでの警戒策として他の刀剣男士達には特に問題なく受け入れられたのだ。
そして本丸に審神者が帰還した現在は、既に面影が信頼に足る刀剣男士であるというのが皆の共通認識になっているので、部屋を替えるという話も出る事はなかった。
『俺が面影の後見を受けた事もあるし、今後も面影は此処に住まえば良かろう? 今更部屋を替えるのも面倒だろうし』
という三日月の後押しの言葉の影響もあったに違いない。
そんな三日月の部屋の方へと近づいてくる足音の持ち主………
無論、可能性として一番高いのは、面影だ。
「? 三日月?」
「面影………ん?」
やはり予想通り面影だったと確認したところで、三日月の目が瞬時に鋭いものに変わる。
「………どうした、その姿は」
「ああ……見回りの途中で、ちょっかいを出された」
今日の任務は本丸近辺の巡回だった面影は、その戦闘服の所々に返り血を浴びていた。
美しく、清廉な印象が強い大太刀の付喪神が血を浴びている様はより凄惨さを感じさせるが、三日月はそんな相手にも全く気負わず話しかける。
「遡行軍か…?」
「ああ、最近静かにしていたと思っていたが……不意打ちを受けた」
もう全てを殲滅したから問題はない、と付け加えた面影の瞳には、いつのも柔和な光ではなく、鬼神を宿した様な冷徹なそれが宿っていた。
おそらく戦闘から然程時間が経過しておらず、まだ完全に闘気を鎮められないのだろう。
三日月がじっと相手の姿を凝視したが、どうやらその血のどれもが面影のものではないらしいと判断したところで、ようやく唇に笑みが浮かぶ。
「…お前が無事で良かった」
屈託のない三日月の笑顔を向けられ、思わず面影が半歩引きながら視線を逸らしたが、その顔にはうっすらと朱が差していき、彼の中に宿っていた覇気が瞬く間に消えていった。
「わ、私も刀剣男士の端くれだ、そうそう後れを取るつもりはない………あまり甘やかさないでくれ…」
「最愛の者を気にかけるのは当然の事だろう?」
呈した苦言をあっさりと熱烈な告白で返されて、いよいよ抑えられなくなった顔の紅潮を片手で隠しながら面影は狼狽えた。
「そっ…! そういう事をこんな所で…!」
「………うん」
「…?」
いつもの相手ならまた飄々と何らかの反応を返すところが、何故か力なく頷くのみに留めた三日月の反応に、面影も流石に気が付いて首を傾げた。
「…どうした?」
「……明日から、暫く政府筋に赴く事になった。帰ってからも当面は主に付きっきりになるのでな、こうして話すのもお預けになるだろう」
「!」
その言葉に明らかに動揺した様子で面影の双眸が開かれ、身体が揺れる。
そして、若者は三日月の顔と、彼が手にしている書類を交互に見つめ、納得したように小さく頷いた。
「…そう、か……そうだな、そういう時期だった」
去年の、同じ時期の本丸の様子を思い出したのか、面影は目に見えて肩を落として呟いた。
あの時期と同じ様に多忙になるのなら、確かにこうして三日月とのんびりと言葉を交わす機会も少なくなるだろう。
それどころか………
「……本丸に居る時間も、少なくなってしまうのだろう?」
「…そうだな。筆頭である以上、どうしてもな…主が出歩く機会が増えるのなら、俺もそれに同伴せねばならぬ」
「そうか…」
何を言うべきなのか、と少し逡巡した様子だった面影は、それからすぐに顔を上げてはっきりと三日月に宣言した。
「心配無用だ。お前が不在でも、必ずこの本丸は守り切ってみせる。安心して、主を支えて差し上げてほしい」
胸の前で拳をぎゅっと握って言い切る姿は、三日月に対する誓いであると共に、自分自身に言い聞かせている様にも見える。
その心意気を受け、三日月は心なしか安堵したように微笑んで頷き返し、そっと身体を相手のそれに寄せた。
「……『禊』もあるので、暫しお前を抱くことも出来なくなるが…」
「!」
「…年が明けたら、お前が守り切った本丸でお前が望むように愛してやりたい……望みがあれば言うがいい」
「そっ…そんな……」
「はは…それこそ、今のこの時分に言うべきことではなかったか…鬼が笑うかな……だが、」
ぱっと身体を離して再び自室に向かうべく踵を返した三日月だったが、ふっと振り返りざまにこちらに向けた視線は明らかに夜に見せる獣のそれだった。
「お前の望みなら、俺は喜んで叶えよう」
守り切った本丸で…という三日月の言葉の通り、その年が無事に明けた時、彼らの本丸は確かに此岸にまだ存在していた。
既に去年の話にはなったが、師走ともなれば人の世も彼らの心の流れに従い、賑やかになってくる。
そんな人々の動きに紛れ、見えぬ何かも蠢くものだ…悪しきものでも善きものでも。
各時代に陰謀詭計を巡らす遡行軍だが、無論彼らはそれだけに留まらず、最も厄介な敵である刀剣男士達を直接的に襲う事もあった。
この本丸と時空が隔てられている時代での問題解決については遠征組の出番であり、それは他本丸との共闘もある程度は期待出来る。
しかし本丸への急襲に関しては、これは最早自分達の実力で回避するしかない。
遠征組の出征の機会が多くなれば、無論、本丸に籍を置く刀剣男士達は少なくなる。
故に、この時期は全本丸にとってもある意味、正念場になるのである。
そんな中、只でさえ多忙の中の多忙に身を置く事になる筆頭近侍の三日月の心労を極力減らすべく、面影は自ら進んで戦場へと赴いては敵を屠り続けていた。
鬼神の如き大太刀が守る本丸がある
そういう噂が遡行軍にも流布されているのかは定かではない、が、新たな年を迎える頃には本丸を襲う彼らの姿は目に見えて少なくなっていた。
つまり、面影は三日月との約束通り、実力を以て本丸を守り切ったのである。
新たな年を迎えた本丸では、三日月を労う言葉の他に、面影の武勇を讃えるそれも数多く挙げられ、彼が三日月との約束を遵守した証となった。
「去年は随分見せ場を取られちゃったけど、今年は負けませんよー!」
朝賀の儀を無事に終え、審神者が退出した後の本殿では、刀剣男士達が賑やかに新年挨拶を交わすなど和やかな空気が満ちていたが、その中で鯰尾が溌剌とした声で面影に微笑ましい宣戦布告を行っていた。
「ああ、お互いに精進しよう」
そんな相手に面影もまた頼もしげな視線を向けつつ励まし合う言葉を掛けていると、その賑やかさに惹かれる様に鶴丸もその場に参戦してきた。
「はは、頼もしいな二人共。しかし、面影ももうすっかりウチの本丸に馴染んだみたいだな、初めて此処に来た時には随分と他人行儀な感じがしていたが…」
「そう、だな……それで不快に思わせてしまったのなら…」
「はいストップ。そういう所は相変わらずかぁ…まぁそこも長所と言えば長所なんだろうがなぁ……」
頭を軽く掻きながら鶴丸は仕方がないと軽く笑って相手を嗜めた。
「俺達の誰もお前さんの事を迷惑だなんて思っちゃいないさ。あの夢の事件の後は懸念も消えて吹っ切れた様だし、寧ろ今は腕も上げて十分に頼りにしてるぐらいだ。他人行儀と言ったがそれもまた言えなかった秘密が作った壁だったんだろう……」
そこまで言うと、くるっと鶴丸は背後を振り返り、顎でその先を指し示した。
「 良かったじゃないか、あいつの心配事も一つは消えたって事で。お前のこと、此処に来た時から随分気にかけてたからなぁ」
「………!」
その視線の先を追って面影が見た先には、鮮やかな蒼
空よりも深く、海よりも澄んだ彩を纏う男が佇んでいる。
新年を祝う場の為の一張羅なのだろうが、あれが眩く見える程に映えるのはその品質に依るものだからではないだろう。
纏っている男の神格があまりにも高いと、纏うものすら錦の如き輝きを帯びるらしい。
「三日月………」
蒼の美神は新年の挨拶を述べてきたのであろう他の刀剣男士達に囲まれており、彼らの一人一人にも穏やかな表情を浮かべて労いの言葉を掛けていた。
内容については詳しく聞こえなかったが、美麗な神をこうして見ているだけでも時を忘れてしまいそうになる。
「ああ……三日月は本当に優しい」
その優しさに完全にやられてしまっているのが自分である事を十分に理解している面影は、ついそんな言葉を口にしてしまい、直ぐに気恥ずかしそうに俯いた。
「…それに甘えるのは良くない事だと分かってはいるんだが……」
面影の『甘える』という意味をそのまま素直に受け取ったのか、鶴丸は呵々と朗らかに笑った。
「じじいなんだし甘えてやれよ。お前みたいに頑なな奴の方が甘えられたら嬉しいもんだし、ぽち袋の中身も増すかもしれないぜ?」
「そ、そういうつもりでは…」
そこまで言ったところで面影の反論を遮り、鶴丸がひそりと小さい声で囁く。
「此処だけの話、あいつ結構貯め込んでいるらしくてな……」
「その何かを企んでいる事を隠せていない悪い顔は止めてくれ」
そういう事を言う奴から殺されていく劇(?)の様なものを奇妙なてれびという箱で観たことがある……と、要らない知識を面影が記憶から引き出していたところで、彼らの両肩にぽん、と同時に手が置かれる。
「で? 差し詰め俺は初めに狙われる老齢の資産家というところか?」
「おっと、殺しても死なないじじいにバレたか」
「み、三日月!?」
はっと先程まで三日月が居た筈の場所へと目を遣ると、そこに集っていた者達は既に解散していたらしく男士達の姿もまばらだった。
まさか気配を感じないままここまで接近を許してしまっていたとは!と驚きつつ、面影は動揺も露に弁明する。
「ご、誤解しないでくれ! 私は決してそういう事を…」
「ああ、良い、良い、分かっている、冗談だ」
普段は凪いだ湖面の様に静かで奥ゆかしい態の若者がここまで狼狽するとは、余程、三日月に仇なそうとしていると誤解される事が嫌らしい。
無論、面影がそんな事を考える筈もないと理解している三日月は、悠々と手で相手の動揺を抑えつつ鶴丸へと目をやった。
「鶴丸、あまり若い者達を揶揄うな」
「はは、悪い悪い、流石に正月から悪ノリが過ぎたか。無事に朝賀の儀も済んだ事だし、三日月もゆっくりするといいぜ」
「うむ……そうだな、この衣装も心身が引き締まって良いのだが、そろそろ身軽になりたい……面影や」
「っあ、ああ?」
「すまんが共に来てくれるか? 着替えを手伝ってほしいのだが…」
「あ…わ、分かった」
三日月の戦闘服は一見非常に雅で見目麗しいものだが、その分扱いが少々難しいところがある。
重ね着というところもそうだが、生地そのものが非常に高価なものでそれに比例して繊細なものなので、粗雑に扱う訳にはいかない。
故に脱ぎ着する際には介助が必要になるので、他の者が付く事になるのが常だった。
先程まで会話に興じていた鶴丸もよくその役目を負ってくれていたが、今回はその役を面影に頼んだ、という訳だ。
「お、着替えか。ゆっくり落ち着いたらおせちも食べに行けよ?」
「うむ。では行こうか? 面影」
「分かった……行こう」
面影を引き連れて、三日月は本殿から廊下へと移動し、そのまま私室への通路を進んでいく。
去年と同じく外は雪景色…雪そのものは今は止んでいるが、朝日を浴びた真白の雪が木々の枝葉や大地の上に積もって眩く光る光景は、見るだけでも心が清められる様だ。
賑やかだった男士達の声も私室に近づくにつれて小さく消えてゆき、辺りの空気もより静謐なものになり、やがては二人の立てる足音と衣擦れの音だけが周囲に響いていた。
「……さて、希望は決まったか?」
「え……?」
歩みは止めないままに、三日月が優しい笑みを浮かべながら背後に付き従う若者を振り返る。
「お前は見事にこの本丸を守り切ってくれた。褒美に……」
そこまで言ったところで、三日月はくるりと面影の方へと向き直り、そっと相手の身体を抱き寄せながら耳元で囁いた。
「望む様に抱いてやると約束していただろう?」
「……っ」
囁かれた声音が直接腰を殴った様な衝撃を受け、がくっと脱力して頽れた面影は必死に三日月に縋りつく。
普段なら、ここまでの動揺は見せない、しかし今は……!
「面影…?」
「だ、め……っ……三日月が、そんな声で、言うから…っ」
耐えていた……ずっと押し殺していた肉の疼きが、彼の声で呼び起こされてしまう…!
「!……ふふ」
そこで面影の身体がどういう事になっているのか察した三日月は、にっと唇を三日月の様に歪め、若者の腰の下へと腕を回すとそのままその身体を自分の前へと抱え上げた。
「あ……っ!?」
「では、このまま俺が運んでやろう、大人しくしておれよ?」
「ちょ……」
本来なら着替えの手伝いの為に同伴していた筈だが、こういう体勢になってしまうと目的そのものが別のものに摺り替わってしまった様な……そしてそれはおそらく気のせいではないだろう。
もしかしたら、彼は当初からこれを狙っていたのだろうか……?
「さて、部屋に着く前に聞いておこうか? どうしてやろうか…?」
「……っ」
上目遣いで三日月を見上げた面影の頬に朱が差し、暫し彼は躊躇う様に俯いた。
(望みは……ある、けど………あ、あんな願い……いいのかどうか…)
去年、初めて三日月に望みを尋ねられた時、面影が反射的に思い浮かべたのは過去の新年の時に相手と過ごした記憶だった。
去年の今頃はどうだったか…そう連想するのは自然の流れだ。
その中で最も鮮烈に面影の記憶の中に刻まれているのは………三が日最終の……
思えばあの日以来、同じ経験はしていないのだが、正直今の身体にはあの時の記憶は刺激が強過ぎる。
何故なら一年前と同じく……今の自分も目の前の男と同じ様に結構な禁欲期間を過ごしていたのだから…
そんな事をつらつらと考えてはいたがいつまでもこうして三日月に返答を待たせる訳にはいかない、只でさえ、この身を抱えてもらっているのだから。
少しだけ悩む様子を見せた後、おず、と三日月を見上げた面影はゆっくりと言葉を紡いだ。
「………軽蔑……しない、か?」
それに対して三日月も囁きで答える。
「欲望を抱くのは恥ではない……俺もお前も……それに鶴丸も言っていただろう?」
そして一層ささやかな声で……
「俺が『ためこんでいる』と」
「!!」
鶴丸が言っていた『ためこんでいる』というのは金子の話…だが、三日月が今言った言葉の指すものは……
はっきりとは言わないまでも明らかにこちらが察せるだろうという形でそれを告げた三日月から目を逸らし、面影はひたすら俯いた。
彼が何を『ためこんでいる』のかは分かっている……そしてそれは自分も同じだ。
下手に目を合わせてしまったら、欲情に潤んだ瞳を見られてしまったら、それを見抜かれ指摘されるかもしれない…いや、既に見抜かれているのかもしれないが、視線を逸らしていたら短い時間でもその追求から逃れられるかもしれないと思っての事だった。
そんな面影の心中を察してくれたのか、三日月は俯いたままの面影に顔を上げる事は強要せず、唯、自身の正直な思いを打ち明けた。
「その通り、俺もお前を想い、もう限界が近いのだ……早く望みを聞かせて…そして抱かせてくれ…」
「!」
互いに互いへの欲求が限界に近い事を知り、面影は少しだけ抱いていた躊躇いが薄らいでゆくのを感じた。
三日月もまた己と同じなのだと知れた事で、自分もまた相手に応えたいと思った。
私の願い……浅ましいと分かっている、しかし嘘偽りない私の欲望を…叶えてほしい………
「…………わ……若月と…眉月に……会いたい…」
お前の……別の姿に……この身を……
「!!」
会いたい、という言葉の裏に秘められた意味に気づかない筈もなく、三日月はその意図に対して瞳を大きく見開くと実に楽しそうに笑いながらその顔を相手のそれへと寄せてきた。
「そうかそうか……その飢えた身体、いつものでは物足りぬか」
「う………」
こればかりはこちらから申し出た以上言い訳は出来ない。
真っ赤になったきり無言で俯いたままの面影に再び唇を歪め、三日月はそれからは自身も無言を保ち、私室へと向かって行った………
「ん、あ………っ」
三日月の部屋に入って物の数分と経たぬ内に衣服の全てを剝ぎ取られ、面影は真白の空間の中、二人の三日月に挟まれていた。
正直、寝所に入ってどうなったのか自分自身でも分からなかった。
部屋へと続く襖を開いた瞬間白い膜に覆われた感覚が生じたのは、おそらく三日月が神域を展開したからなのだろう、去年のこの時にも同じ経験をしていたのでそれについて余計な混乱を生じる事はなかった。
周囲は部屋と呼べる様な環境ではなく、まるで雲の中に放り込まれた様な異世界だったが、寒くも暑くもなく足元は柔らかな布団の感触。
摩訶不思議な空間だったが、三日月が創り出した神域だと思うと寧ろ心は安らげる……
脱いだ覚えもないのに全てを晒した姿になったのもおそらく三日月の意志が働いた結果なのだろうが、そう考えると自分に着替えを手伝う様に申し出たのは、ちゃっかり自分を相手の私室へ連れ込む理由に使ったという事なのだろう。
そういうところは相変わらず抜け目がない…と思いはしたが、今だけは責める気にならない。
三日月の禊の期間は面影も同じく禁欲に殉じていたので、三日月にこうして触れられた時点でもうこちらも歯止めが効かない状態だったのだ。
その私室という神域に入ったところで、面影は脱いだ覚えもないのに既に全裸となり、同じく全てを晒した二人の男に立ったままで蹂躙されようとしていた。
前に立った男は三日月の姿形そのもので、先程から面影の唇を己のそれで塞いでいる。
時折彼らの唇が離れると、その狭間から互いの紅い舌が絡み合うのが見て取れた。
「んん………あ……わか、つき……」
ぴちゃ…っと水音を立て、口の端に涎を零しながらうっとりと面影が目の前の男の名を呼ぶと、相手は嬉しそうに目を細めて小さく頷く。
するとその直後、面影がひくんと肩を竦めながら喉を反らして声を上げつつ振り向いた。
「ふああっ…!……あっ…まゆ、つき……」
そこでは、背後に立っていた同じく三日月の姿をした男が軽く面影の肩に吸い付き、軽く歯を立てていた。
そちらの三日月には、普段から彼が愛用している金糸の房の髪飾りがない。
過去に出会った際、全く三日月と同じ容貌をしている二人の見分けがつくようにと、彼らがそう取り決めたのだった。
自分の名を呼ばれた事で満足したらしい美神もまた、微笑みを返してくる。
「おお、よしよし……ようやく俺達を喚んでくれたなぁ…」
と、眉月と呼ばれた男は歯を立てた場所を舌で舐め上げ、
「全くだ……あの日より一年…この時を待ち侘びたぞ…面影よ…」
と、若月は唇を離して慈愛に満ちた眼差しで面影を見つめる。
そんな三日月宗近に酷似している二人は、面影だけが知る、彼の分身した二人の『三日月宗近』。
三日月が己の意志で己を二つに分けたため、どちらもが同じく三日月宗近なのだが、同じ名を二人に当てるのは何かと不都合であるという事で、各々を『若月』、『眉月』と名付けたのだ。
三日月とはほぼ毎日顔を合わせているが、この二人の姿となった状態で会うのは約一年振りだった。
「俺達の名を一年も呼んでくれないとは……薄情な恋人だ」
鼻尖にちゅ、と口付けてくる若月がそう言うと、面影は明らかに赤くなりながら顔を俯けた。
「だって………恥ずかしい…から……」
「おや、恥ずかしいとは……俺達と遊ぶのは嫌なのか?」
「そ、そんな……こと…」
「若月、そう責めるな。面影が『三日月宗近』を愛しているのはお前もよく分かっているだろう? 面影は確かに恥ずかしかったのだろう…」
言いながら眉月がその場に屈むと、目線を上に上げてそこにあった面影の臀部の柔らかな双丘を手で押し広げ、ぴちゃ…と舌先で深蕾に触れた。
「ひぁ…っ!!」
「俺達に二人がかりで責められた時の、あの時の自分に再びなってしまうのが、な…」
そして眉月がその後も繰り返し、ぴちゃ、ぴちゃ…と深蕾を舐めながら、股下から右手だけを伸ばして面影の二つの宝珠を優しく揉み込み始めると、更に面影は声を上げて悶え始めた。
それを受けて若月もそんな二人に触発された様に微笑み、面影の唇を再び塞ぎながら両手を伸ばして若者の胸の二つの蕾を摘まみ上げ、くにゅくにゅと優しく圧し潰す。
「んっくぅ……っ! は、うぁ…っ!」
「確かに……ほら、もうこんなに物欲しげな顔をして…身体が悦んでいる」
「ちが……っ」
ずりゅっ…!
「ひぃんっ…!!」
否定しようと声を上げかけたところで、面影の勃ち上がっていた楔に若月の同じくそそり勃っていた肉棒が擦り付けられ、走り抜ける快感に声が悲鳴に置き換わった。
「っく……あぁ…っ」
「ああ……そう言えば、お前も前と同じ様に俺と同じく禁欲に耐えてくれていたのだな……言葉で語らずとも直ぐに分かったぞ? 日々のお前が俺を見つめる甘やかな瞳で、な……」
その言葉で彼らが、自分が禁欲に耐えていた事を見抜いていた事実を知らされたが、それに反応を示す前に面影は二人からより一層の激しい愛撫を受け始める。
くちゅ……ぴちゃっ…….にゅくっ………ずりゅっ…….つぷり…ずちゅ……っ……
自分の身体の至るところから、様々な水音が響いてくる……
唇からは唾液が混ざり合う音、陰部からは互いの男根の粘膜同士が擦れ合う音、臀部からは眉月が舌で悪戯を施している音………
そして音は立たないながらも、乳首と二つの秘珠を弄られている快感も合わさり、既に禁欲の限界にあった面影は瞬く間に高められてゆく。
「あ、あああっ……! ん、あっ、あっ…!! やっ……ふたり、とも……はげしっ……!」
「だが、好いのだろう…? ほら……」
あまりにも強い刺激に面影がそう訴えるが、若月は彼の欲望がまだまだ満たされていないと指摘する様に、ぎゅっと一際きつく相手の胸の膨らみを摘まんだ。
「ああっ…!! だめぇ……っ、そんな……」
悶える面影と同じく、彼の分身が刺激に反応してびくんっと一際強く頭を振った所為で、若月のそれとも強く擦れ合う事になってしまう。
「ん…っ……ふふ………流石の俺も、そろそろか…」
楽しそうに嘯く若月の額には汗が滲み、声音にも微かに苦痛と快楽の彩が混じっている様に感じられ、彼もまた己と同じく限界が近い事を知る。
「ああ、ああ…っ! だめ…っ、わたしも、もう、もうっ……!!」
「うむ、良いぞ、共に…な…?」
訴える面影に応える様に、若月は片手を相手の胸元から離して二人の重なった肉棒達の方へと伸ばすと二本共をきつく握り込み、ちゅくっちゅくっと淫らな水音を響かせながら激しく上下に扱き始めた。
既に禁欲期間が長かった所為か、二人の楔の先端からはぼたぼたと透明の雫が溢れ出し、互いの茎を濡らし交わっていたが、若月の悪戯でいよいよ止めどもなく溢れて来る。
(ああ…! か、感じ過ぎて、い、痛いくらい……っ! いっ、達きたいっ、早くっ、早くぅっ…!)
どくんどくんと脈打つ血潮が激しく身体の中央で暴れ回るのを感じながら、それでも肉体の本能に抗えずに自ら楔を相手のそれへと押し付け、擦り付け、面影は腰を激しく振った。
そんな若者の行動に、背後で跪き、彼の後菊を苛めていた眉月が昏い笑みを浮かべる。
「はは…随分と感じている様だなぁ。ならばこちらも手伝ってやろう……」
そう言うと、眉月は舌先で届く処までを解していた後穴にずぷりと一気に人差し指と中指を突き入れ、ついでに更に奥に息づいていた男性の急所を肉壁越しに強く擦り上げてきた。
「あっあっ、それだめぇ…っ!!」
こちらの意志に関係なく、楔に一気に熱が集まるのと同時に、後穴に侵入していた眉月の指達を淫肉がきつく締め付けるのを感じた。
そして直後、身体が快楽を求めて限界の柵を砕き、面影を絶頂へと勢い良く押し上げる。
「っくぅ!」
「ああんっ! いっ、くうぅぅぅ…っ!!」
「ん……」
若月の掌の中で彼と面影の男性が勢い良く爆ぜ、二筋の白い熱泉が噴き上がる。
びゅっ、びゅっ! びゅるるるっ!
どびゅっびゅるるっ! びゅるっ、びゅくっ、びゅるるっ!
彼らが各々の声を漏らして快感をやり過ごしている間に、眉月は愉快そうに目を細めながら舌で面影の淫蕾を犯し、同時に二本の指で秘所の緊張を解しつつ面影の秘密の器官を執拗に責めていた。
その上で、双珠にも手を回して揉み込み続けて射精を後押ししたため、面影の絶頂はいつものそれより格段に激しく長いものになってしまった。
「あーっ! あぁーっ! だめっだめっ、止まらな…っ!! きもちっ、きもちいっ…! まだ射精てるっ、あああ〜っ!」
久し振りの射精……しかも二人の男達からの悪戯を受けながらの絶頂は、それまで禁欲に耐えていた面影の理性を瞬く間に溶かし、肉体を本能の衝動に叩き込んだ。
「あ、ああ……っ」
どろどろの粘った白濁を先端から溢している面影の肉棒は、それでも尚鎮まる気配を見せずに角度を保ったままであり、それは若月のもまた同様だった。
達した身体が頽れそうになったところで、面影は若月にしっかりと支えられて転倒を免れたが、その拍子に再び二人の楔が互いを擦り上げる。
(あっ………ま、まだ…全然、萎えてない……私のも…若月、のも…)
どきどきと激しく脈打つ動悸を脳の奥に聞きながら、全く治まっていない様子の身体に戸惑っていると、その隙を突く様に再び後蕾に甘い刺激が走り、弛緩した身体が再び緊張する。
「んっ、ああぁ…っ、まゆつきぃ…っ! そんな……!」
「うん………好い具合に解れてきたな……」
くすくすと小さな笑みを零しながら、屈んだままの眉月は変わらず舌と指で面影の秘所をあやす様にからかい遊び、弄んでいる。
禁欲期間は三日月を受け入れていなかったためその箇所は頑なになってしまっていたが、今は眉月の愛撫を受けて柔らかく、雄を受け止められるまでになっている様だ。
「……なぁ、俺から、で良いか?」
面影ではなく、眉月は若月にそう確認を取り、問われた若月は熱い吐息を漏らして少し考えた後で頷いた。
「そう、だな…お前が準備を整えたのだからそれで良かろう………俺は、今度は別のやり方で戯れるとするか」
二人が互いに同意したところで、眉月は一旦面影への愛撫を中止し、屈んだ己の方へと相手の腕を引いた。
「あ……っ…」
「俺のもいい加減抑えきれなくなっている……お前の内で鎮めてくれ…」
その方法は言うまでもない事で、それを察した面影は一瞬瞳を大きく見開いたのだが、その身が鎮められていないのはお互い様でもある。
「……っ」
面影がこくんと頷くと、眉月は座っていた姿勢からその場に仰向けに寝転がり、面影に向かって手を差し伸べた。
「ほら……こちらに」
促され、面影は相手へと近づき、眉月の身体を跨ごうとしたところで傍に立っていた若月によって彼の方へと向き直らされた。
眉月から見て背中を見せる体勢になった面影は、改めて眉月の腰の辺りを跨ぎ、ゆっくりと腰を落としていきながら、おず、と振り返りつつ手を後ろに回した。
そこに自分が求めているモノがあると知っていたからだ。
(あ、あ………眉月のも……すご、い…)
振り返り、その様子を目で確認すると同時に手でもそれに触れて実感したところで、ぞくぞくと身体に期待の衝動が走る。
己と若月のそれらと異なりまだ一度も射精していない眉月の雄は、膨らみと溢れさせた淫液、為した角度でその獰猛さをこれでもかと見せつけていた。
掌でその茎を後ろ手に包み、感触を実感した事に反応する様に、面影の身体の奥がずぐりと疼く。
(あ……こんな大きいの……挿れたらきっと、気持ち良くて……おかしくなっちゃう……)
おかしくなってしまうという不安と恐怖が湧き上がったが、それ以上に肉体が『それ』を求めている叫びに面影は逆らえなかった。
「ん……」
そろそろと腰を落としていきながらおおよその位置を把握し、蕾に眉月の雄の先端を押し当てた瞬間には身体の動きを止めた若者だったが、そのまま腰を沈めていった。
ずぷぷ……と眉月の雄が面影の身体に素直に呑み込まれていき、同時に面影の口からはぁ…と息が深く深く吐き出される。
「んん……はぁ……っ」
久し振りだったので正直多少の苦痛は覚悟していたのだが、眉月の濃密な愛撫のお陰か質量を受け入れた圧迫感のみでそれも程なく薄れていき、楔を奥へ迎え入れる程に懐かしい快感がじわじわと身体の奥から湧き上がってきた。
「ああ………いい…きもち、い…っ…」
「ほら……もっと食べたいだろう…?」
うっとりと楔のもたらす快感に喘いでいると、眉月が笑いながらぐんっと腰を突き上げ、幾らか残っていた部分を一気に根元まで挿し入れた。
「ひぅ…っ!! っは…っ………っ!!」
びくびくっと全身が戦慄き、魚の様に口を開閉させながら面影が声のない悲鳴を上げる。
そんな彼の股間で、依然昂っていた彼の雄が激しく首を振り、その度に先端から先走りが放たれ、辺りに飛沫を散らしていった。
「はは、そんなにだらしなく口を開けて……下の口が余程具合が好いのかな?」
そんな若者の痴態を眺めていた若月の言葉に応えたのは、同じく三日月の分身である眉月だった。
「それは当然だろう? 俺達と面影の仲だぞ……まぁ、長い事お預けだったのもあるだろう…」
「ふむ…?」
それを聞いた若月は面影の直前に立つと優しく相手の頬を撫で、そのままの流れで顎を掴んでより大きく口を開かせた。
「では、この物欲しげな口にも好物で栓をしてやろうか……なぁ?」
「ん、ふぅう…っ」
そんな言葉と共に口中に挿し入れられたのは、固く大きく育っていた若月の肉棒だった。
(ああっ、久し振りの…オ◯ン◯ン……三日月のと同じ……形も…大きさも……味、も…)
口内を肉棒で満たされ、犯された直後から、面影の舌が若月の男性に激しく絡みつき、扱き上げながら吸い立ててきた。
「っく……おお、好いぞ……」
「んっんっんっ…! ん、むぅっ…っちゅ…!…」
下からは眉月の楔に繰り返し突き上げられ、上の口には若月の熱棒を咥えさせられ犯される。
見方によっては陵辱されている様にも見えるが、二人共が自らの愛する男である面影にとっては間違いなく悦びしかない行為だった。
(はあぁ……! おいしい…オ◯ン◯ンからいっぱい、やらしい涎が溢れて、くる………もっと、もっと気持ち良くしてあげたい…もっといっぱい、大きくして……)
若月の楔を舐めながら、もっと彼の快楽を深めたいと考えた面影は、朦朧とした意識のままに自らの指を相手の背後側へと回し、するっと臀部の狭間の奥へと滑らせる。
「ん……っ」
ひくっと僅かに顎を上げて小さく呻いた若月の反応を察しながらも、面影の指先は止まらず、つぷ…と彼の秘蕾へと挿し入れる。
そしてゆっくりと奥へ奥へと侵入を果たし、雄の弱点を肉壁越しに刺激すると、素直に面影の口中にあった楔がびくんと大きく揺れて反応を示した。
「は、は………好いな……好過ぎて、すぐに達ってしまいそうだ…」
強がる事もなく素直に快感を伝える若月の声を聞きながら、面影はより一層熱を持った身体を上下に揺らして眉月の激情を貪りつつ口の中で若月の激情も慰め、同じく若月の秘蕾を弄り続けた。
「……嫉妬してしまうなぁ」
面影が己のものを貪りながらも、こちらには背を向け、若月への奉仕に夢中になっているのが悔しかったのか、不意に眉月が上体を起こすと面影の両脇の下から手を伸ばし、右は彼の胸元へ、左は勃ち上がっていた彼の昂ぶりへと伸ばして悪戯を仕掛け始めた。
「ん゛っんう……っ!!」
ぐちゅぐちゅと濡れた音をたてながら男性を扱き上げられ、同時に胸の固く尖った蕾を指の腹できつく摘ままれ、面影が思わず声を漏らしつつその刺激に煽られた様に舌や指の動きを速める。
「く…っぁ…」
その煽りを受けた若月が再び呻く向こうでは、その発端となった眉月が淫靡な笑みを浮かべながら面影の耳元に顔を寄せていた。
「おやおや……お前の乳首とオ〇ン〇ンを弄った途端に奥がきつく締まったぞ…? ふふふ……素直過ぎる程にいやらしい身体だなぁ…」
「く……ふ……んむ…っ…」
言葉を返そうにも口を塞がれている身ではそれも叶わず、面影は言葉にならない声を小さく零し、背後へと視線を向けるのみ。
しかしその顔は耳朶に至るまで朱に染まり、瞳には恍惚の色が宿り、目尻からは溢れる快楽を宿した涙が零れていた。
「よしよし……もっと好くしてやろうなぁ…」
「く、ぅぅんっ!!」
眉月が宣言した直後からより速く激しく面影の最奥を幾度も穿ち、同時に乳首を強く抓りあげつつ楔の先端を穿ると、呼応する様に面影の身体も激しく揺れ出した。
(すご……いっ…!! 上も下も犯されて…っ…ひどいこと、されてるのに……こんな、気持ち好くなるなんて……っ!)
そんな思考が脳裏に浮かんだのも僅かな時間のみであり、後はもう何も考えられなかった。
含まれる熱い昂ぶりを鎮めるべく舌と指を動かし、身体の奥の疼きを鎮める為に腰を揺らし……背後の男に敏感な場所を嬲られ………
(あっ……二人のオ◯ン◯ン、一気に大きく…っ! 私も、私も、一緒に……っ!!)
「奥に…射精すぞ…っ!」
「飲んでくれっ……面影っ…!」
「んん〜〜〜っ!」
三人が奇跡の様にほぼ同時に絶頂を迎え、先ずは若月達が欲望を解き放った。三者三様に己の精を一気に放つ。
(あっあっ!! ふ、二人の精液が…私の身体を犯していく……っ! だめ、多すぎて溢れちゃ……っ!)
どくんっどくんっと肉棒が戦慄く度に口中に独特な風味を持つ白い粘液が注がれ喉を打ち、それに完全に息を合わせた様に、面影の奥の奥まで侵入していた肉楔もまた戦慄きと共に種の奔流を叩き付けていた。
(あああ〜、だめ…っ! 口の中も身体の奥も、き、気持ち良すぎてっ、また、またっ!)
「だめえぇぇっ! いっ、いくっ、いくっ、あああああ〜〜っ!!」
続いて絶頂を迎え、思わず若月の楔から口を離した面影が尚も放たれる精を顔に浴び、声を上げながら身を震わせ、大きく開かれた両下肢の中央に聳えていた肉棒からびゅるびゅるっと白濁の淫液を噴き上げていた。
(い、いや………ふ、二人の目の前で、こんなに激しく達っちゃった………!)
はぁ…はぁ…と激しい息遣いで、様々な体液で濡れた身体を揺らしながら面影が快感の余韻に包まれていたところで、いきなりその肩が掴まれ、ぐっと前面へと引っ張られた。
「え…っ?」
犯人は若月。
引き寄せられた事で眉月の男性がぬるりと体外に外れたが、それを自覚する暇もなく仰向けの形で若月に押し倒され、ぐいっとのしかかられる。
「あ……わか、つき…?」
「次は、俺の番だな……」
言われながら片足を抱え上げられ、狭間に滑り込まれながら昂ぶりを秘孔に押し付けられた面影が驚愕する。
「そ、んな……っ……まだ……」
萎えてない…なんて…?
ほんの数秒前にあれだけ精を浴びせてきたばかりなのに、その剛直は一向にその固さを失っている様子はない。しかも放ったのは二度目なのに……?
当惑している若者に応えたのは当人の若月ではなく、脇から様子を傍観していた眉月だった。
「ふふ……乱れるお前を見ながらも口淫だけで耐えねばならなかったこの時間……より昂ることはあっても萎える訳がなかろう?」
そしてさわりと優しく頭を撫でてきた眉月は、喉を大きく反らせた状態の面影に己の男性を近づけ、くぷりとそのまま含ませる。
「んく……っ」
「さて、交代といくか……今度は俺のを味わってくれ…」
頭が逆さまの姿勢、つまり眉月の裏筋を上口蓋で擦る形になるといういつもとは異なる体勢に戸惑っていた面影だったが……
ずぷぷっ……!
「ん、んん~~~っ!!」
若月のものが一気に根元まで打ち込まれ、眉月の昂りを口に含んだまま更に喉を反らせる。
「ふ……好いなぁ…より奥に届く…」
じゅぽっじゅぽっと唾液を溢れさせた口腔からいやらしい水音が響くと共に、雄々しい益荒男が出入りする姿は正に淫靡の一言だった。
しかしその状態に恥じ入る余裕もなく、面影は身体の内で思うままに暴れ狂う若月の雄に感じさせられ、声を出せないまま啼き狂わされていた。
(ああっ……犯される度に、どんどん身体が敏感に……っ! こんな…っ…こんなの……が、まんできない……きもちいいことしか…かんがえられなく…っ…)
人の身を模して顕現した身体なのに、今の自分は、人の歩んできた進化の道をまるで逆行している様にすら感じられる。
人は考え、理解し、行動する生物であった筈だ。
それなのに今の自分は思考がほぼ停止し、現在の状態を理解するまでにも至らず、行動はひたすらに与えられる快感を追いかけ、享受する事だけを求めている………
(どうして………ううん…もう…いい………)
ここは三日月宗近が創り出した彼の神域……彼と自分以外に此処の全てを知る者はいない………それが彼の望み……
そして私の望みは……望み……は………
「…ん…っ……ふふ…お前の責めもなかなかの様だぞ若月……舌の動きが速くなってきた…」
「ああ……こちらもとても好い……離したくない、もっと欲しいと我儘にうねって奥に引き込もうとしている……お前に内をぐちゃぐちゃにされたばかりなのになぁ…もしや手抜きをしていたのではないか?」
「おや、それは心外だな、これは後でまた身体に聞いてみなければ…な…?」
言外に、一度だけで終わらせるつもりはないと言った眉月だったが、それに対して若月は否定する事もなく唇を歪めて更に腰を揺らし、面影の奥の奥まで侵入を果たす。
「ん゛んん~~~~っ!!」
「……ああ、お前の言う通りだ…眉月」
先にそれを果たそうと言うかの様に、若月は繰り返し先端までを引き抜いては根元まで一気に突き入れ、その中でぐりぐりと面影の弱点を的確に擦り、抉った。
「もっともっと…好くしてやるからな、面影…」
最奥を激しく突かれ、更に前立腺を含めた弱点を刺激され、幾重にも重なっていた筈の理性の衣が悉く破られ、露出していた本能が揺さぶられる………
今の自分は、最早人としてではなく、快楽を追い求めるだけの本能に衝き動かされている獣なのかもしれない……
そんな獣であってもどうやらまだ人語は理解出来るらしく、若月の甘い囁きに素直に腰を蠢かせ、同時に勃ち上がっていた己の分身も揺らせて応えた。
「おお、そうかそうか、嬉しいか……良い子だ……」
「ん、くう…っ! んっんっ……!」
(あっああ…っ……そんな……奥までずんずんされてっ…オ〇ン〇ンまでそんなに弄られたら……っ! 頭の中、おかしくなるぅっ!!)
肉棒を挿入されるだけではなく、若月の優しくも無情な掌が荒ぶる面影の分身を抱擁し、慰撫まで始めてしまった事で、より一層面影は快感の極みに追い詰められてゆく。
(はぁぁ………もう、身体中、『三日月』に犯されてる……っ……全部、全部…染められて……っ)
口の中からも、秘孔からも、相手のものにされているという証の音が入り込んで脳髄まで響いて来る。
(ああ……壊れる………壊される……っ)
自身の人格さえも崩されそうな程の快感に、必死に抗いながらもその一方では流されたいという激情が溢れ出して止まらず、彼の心は千々に乱れてしまう。
その心の乱れは身体にも伝わり、一層熱と肉欲を増していき、更に貪欲に刺激を求めた。
(欲しい………欲しい、もっと……!)
「っ…! ふ……そろそろか…?」
「ああ……そうだな…」
より一層激しく絡む舌に眉月が苦笑しながら呟くと共に、楔をきつく締め上げられた若月も同じ表情を浮かべながら小さく頷いた。
達するのであれば皆諸共に………
そんな共通の思いを抱いていたのだろうか、二人はいよいよ手負いの獅子の如き激しさで面影を責めてゆく。
粘膜が擦り切れる程に幾度も幾度も突き入れられ、抉られる度に高まる快感に煽られる中で、遂に若者がびくんっと激しく身体を痙攣させた。
(ああ……っ…堕ち、る……っ!)
限界を突破してしまった身体は己の制約から離れ、あっさりと本能に恭順を示した。
(達く……! 射精る……っ!!)
視界に捉える事は出来なかったが、自身の分身が恥じらいも遠慮もなく暴れながら欲望の白い涙を振り撒いた様はきっと二人に見られていただろう。
そして、それは若月と眉月も同様で………
「う、あ……っ!」
「俺も…射精すぞ……っ!」
「んん~~~っ!! ふ、ああぁぁんっ!!」
びゅるびゅるっと口の奥に一度、二度、と激しい奔流が注がれ、それが止まぬ内に楔が引き抜かれたかと思えば、続けて顔に熱い白濁が降りかけられ、肌を伝い落ちる。
身体の内の楔も一気に容積を増したかと思えば、どくりと中身を吐き出す様に白い溶岩流を奥に流し込み、粘膜を通して身体を灼いてきた。
面影の身体と同様に限界を迎えた二人の精の熱い洗礼に、彼の身は更に白く彩られた。
(ああ……気持ち、いい……もっと…もっと……欲しい……)
きっと、欲望に負けて悪鬼に魂を売り渡した人間は今の自分の様になるのだろう……注がれた美酒は天女の羽衣の様に白いのは皮肉だが。
「とても好かったぞ、面影……」
「さて、少しは満足したか………うん?」
若月が労いの言葉を掛けている一方で、問い掛ける様に相手の顔を覗き込んだ眉月が首を傾げる。
面影の様子が何処となくおかしい……と訝った二人の目の前で、若者はもぞりと身体を折り曲げ、自らの身体を慰め始めた。
右手は男性自身に……左手は後ろの秘孔に………
「だ、め……ああ、こんなの………ふ、たりに、あんなにしてもらったのに……全然、足りな、い……っ」
「…っ!」
「…これはこれは」
若月が瞠目し、眉月が皮肉めいた笑みを浮かべている前で、いつもの彼からは考えられない程の大胆さで、面影の両手は淫らな遊戯に耽っている。
「んっ、あっ…! 二人とも、み、ないで…っ……止めなきゃいけない、のに……まだ、欲しくて…気持ち良く…なり、たくて……あああ…んっ!」
右手でちゅくちゅくと水音をたてながら分身を扱き上げ、左手では先程まで若月の雄を咥え込んでいた秘蕾に二本の指を挿し入れ、激しく掻き回して悶える淫らな獣。
涎を口の端から零しながら快楽を尚も求めるその表情は、背徳や悦楽、羞恥や渇望、様々な彩が入り交じり、形容し難いものだった。
きっと本人も、自分がどんな顔をしているのかも理解出来ていないだろう。
「おお、可哀そうに……禁欲で飢えた身に、過ぎた快楽を与えられて暴走してしまったか…」
その快楽を与えた立場である眉月が推測した通り、長く禁欲して飢餓状態だった面影の身体は、今や彼の自制の範囲内に留まるものではなかった。
日々、三日月に愛され、抱かれてきた所為で身体がすっかり開発されてしまっていたのも遠因の一つかもしれない。
「ならば、俺達が責任を取ってやらねば、なぁ…?」
若月がそう言いながら眉月に目配せし、互いに頷き合うと、彼らは揃って面影の股間に自分達の顔を寄せる形で身を擦り寄せた。
「お前のいやらしい涎でこんなになって……すぐに綺麗にしてやるぞ?」
若月が唇を寄せて白く濡れた楔を舌で清め始めた一方で、眉月は、
「此処も、俺のか若月のか分からないものが随分と溢れてきている……ほう、まだ欲しいか、よしよし…そうら…」
と、白い濁液を秘蕾から掻き出しながらずぷりと指を二本突き入れ、思うままに肉壁を擦り上げ始めた。
「あ、ああぁ~~~…っ! いいっ、いいぃっ!」
面影が悶えている間に、二人の連携は更に密なものになっていき、彼らのどちらともが楔への口淫と秘孔への指での愛撫を施していった。
楔には二枚の舌が絡みつき、肉蕾には四本の指が各々の自由な動きで出入りしている。
眉月の言う暴走した身体は、彼自身の施す愛撫では満足出来ていなかった様子で、二人が手を出した途端、反応が激しく大きなものになっていった。
それは彼の分身の変化を見ても明らかで、ぴちゃぴちゃと彼らの舌が縦横無尽に這い回る度に、小さく震えながらむくむくと大きく成長を果たしていっている。
「…困ったな……どれだけ舐めても涎が溢れてくるぞ」
「こちらも、まだ指では不満の様だなぁ…」
涎を幾度も舌で掬い取る内に、面影の分身そのものがまた限界近くまで勃ち上がってしまった事に、ぺろりと舌を覗かせたまま暫し若月が考え込むと、意外な事を面影に尋ねた。
「またこんなに元気になってしまっては辛そうだ………ふむ、面影や、今度は俺を犯してみぬか?」
「…っ!?………えっ?」
聞き間違いではないかと思わず声を上げてしまい、相手を直視したが、向こうはいつもと変わらぬ飄々とした表情でこちらを見返している。
「新年を迎えて初めてお前を犯す権利は眉月に取られてしまったのでな……初めてお前に犯される権利は俺が貰うとしよう……それで良いか? 眉月」
「うむ、構わん……丁度、後ろも解してもらっていた様だしな、面影さえ良ければ問題なかろう」
「………と、言う訳だ…面影」
身を起こした若月は、面影に背を向けながらその場で四つん這いになりこちらを振り返る。
「お前さえその気なら、その聞かん棒……このじじいの身体で鎮めても良いのだぞ…?」
「え……」
戸惑う主人とは裏腹に、彼の分身はその申し出が嬉しいという様にぶるんと跳ねた。
実際、面影本人にとっても相手の申し出は魅力的過ぎて、信じられないが為に反応が鈍いものになってしまっていた。
男を抱いた経験が無い訳でもない。
これまでも三日月の事を抱いた事はあり、その時に雄としての悦びも彼から教えてもらっている……
若月を相手にするのは初めてだが、彼も三日月の分身である以上、彼を抱くという事になるのだろう。
「さて…どうする?」
動揺で動けない面影を煽る様に、ぺろっと舌で唇を舐めながら若月は己の指でくい、と双丘の奥に隠れていた肉蕾を晒した。
「俺の身体でたっぷりと気持ち良くなれるぞ?……きっとな」
「あ………ああ…っ」
過去、三日月を犯した時の記憶が一気に脳裏に拡がっていく。
犯されている筈の三日月は確実に快楽の中に在りながらもそればかりに流されず、まるでこちらを導く様に淫肉を蠢かせて絶頂へと誘ってくれていた……
その記憶と連動する様に、面影の分身がより一層固く大きくなり声にならない声を上げ始める。
早く犯したい、早くあの肉壺の中に身を埋め、思うままに暴れたい…と……
「…っ……わ…若月……っ!」
草食動物に肉食動物が襲い掛かる様に、面影が相手に身を寄せてその腰を強く掴む。
獲物を狩る時、きっとその獣の目には獲物しか見えていない……そう、今の己の様に………
脇で眺めている眉月の存在を完全に失念している様子で、面影は岐立した己の怒張を若月の双丘の狭間に押し付け……直ぐに挿入はせず、幾度か裏筋を蕾に擦り付ける様に前後させた。
「んあ………ふふ、熱い、な…」
雄の獣が縄張りを、自分の占有を示すマーキングの様な動作を行った後、いよいよ面影は先端を蕾に押し当て、察した若月が小さく頷いて若者を促した。
「さぁ来い……じじいが慰めてやる…」
「ああ……若月…っ! もう…っ!!」
我慢出来ない…!
最後の叫びは言葉にはならず、面影は荒々しく腰を前に進め、先端を肉蕾の内へと埋めた。
「っあぁ…っ!」
「…っく」
先端を呑まれただけでも全身に伝わる快楽は凄いものだった。
ほんの一部を呑まれただけでもそうなのだ、直ぐに若者の身体は歓喜し、より大きなそれを求めて勝手に動き出した。
「すまない…っ! 優しく、したいのに…っ……ん…っ」
紡ぐ言葉は紛れもない本心なのに、身体は真逆の行動を取るばかり。
腰は勢いをつけながら幾度も前後に振られ、その度に肉楔の茎が若月の体内へと埋められていく。
「ん……っ……ふふ…」
面影の律動に押される形で若月の身体も前後に揺れる中、彼は内を押し広げられる感覚を覚えながらも、余裕のある笑みを浮かべながら侵入者に振り向いた。
「気にするな……俺がお前に抱かれたいのだ。今のお前が望む様に抱けば良い…」
「…! 若月…っ!」
改めて相手から求められたという事実に揺さぶられた感情を、掠れた声に乗せると同時に、どちゅっ!と残っていた部分を一気に突き入れ、根元までを若月の内へと埋める。
許しを受けた今、最早、荒ぶる肉体を抑え込む術は失われてしまった。
「……っあ…っ!」
奥を抉られた衝撃で漏れた若月の艶声の中に、微かに悦びが混じっていたのに、果たして面影は気づいていただろうか…?
「う……んっ…あ、若月の内……気持ち好い………っ」
全力疾走した直後の様に激しい息遣いの中でも若者の貪りの動きは止む事なく、互いの喘ぎと濡れた肌同士が激しくぶつかり合う音が周りに響く。
「…………」
そんな熱い二人のまぐわいを側で眺めていた眉月が、不意にくす…と小さな笑みを溢し、すぅと動いたかと思うと、面影達の背後に回って身体を密着させていく。
「……っ? 眉月?」
「目の前でそんなに仲良くされると、少しばかり癪だな…」
振り返ってきた面影に笑みと共にそう返すと、徐に相手の秘孔につぷりと右の中指を挿し入れ、具合を確かめる様にゆっくりと抜き差しする。
「んんっあぁ…やぁ、ん…」
「嫌なものか、こんなに嬉しそうに絡みついて……」
後ろから仕掛けられた悪戯に喘ぐ相手に眉月はくく、と喉の奥から笑みを溢すと、一気に指を引き抜き、そのまま今度は己の肉棒の先端を当てがった。
「あ……っ?」
背後の様子から、当てがわれたものが何であるのかを直ぐに察した面影がひくんと身体を僅かに震わせ、信じられないといった様子で眉月を仰ぎ見た。
まさかそんな……だって、今、自分は若月とも………
「ま、眉月……っ?」
「俺も仲間に入れてくれ…」
面影が何事か言うよりも早く眉月はぐいと一気に腰を前へと進め、既に濡れそぼっていた面影の秘肉の奥へと楔を突き立てた。
「ああぁぁぁ〜〜〜っ!!!」
己に起こった事に戸惑う間もなく与えられた新たな快感……
しかも背後から強く腰を打ち付けられた勢いで、図らずも自身もより一層強く前の若月を貫いてしまい、抑えられない声が上がった。
そして同時に貫かれた若月も、ああと甘い吐息の混じった声を漏らす。
「あ、あ……今の突きは…好いな……ふふ」
(だっ……だめ、こんなの…っ! オ、オ◯ン◯ンで犯しながら、犯されるなんて…っ!! あああ…私のオ◯ン◯ンとお尻の奥、いっぱい擦って、擦られて……溶け、ちゃう…っ!!)
「ふふ…どうだ? 同時に犯し犯される気分は……」
背後から一気に貫いた眉月が尋ねながら、後ろから回した両手で面影の胸の蕾をくりくりと弄り回してより快楽の深みへと誘う。
「ほら、若月も悦んでいる。もっと腰を振って、思い切り突いてやれ」
「う……眉月、若月ぃ…っ!」
背後から呼び掛けられる言葉だけではなく、繰り返し抉ってくる相手の肉棒がもたらす快楽に前後不覚に陥った面影は、夢中で言われるままに腰を蠢かせた。
ばちゅんっ、ばちゅんっと濡れた肌同士が激しくぶつかり合う音が立つ度に、下半身の前と後ろから悦楽の波が押し寄せて来るが、あまりにも激しく絶え間ないために、どれがどちらかなど分かろう筈もない。
唯、楔が強く擦られたらそれを紛らわせる様に肉壺の内の剛直を締め上げ、その剛直がこちらの奥を抉ったら、それを遣り過ごす様に目の前の秘肉を貫いて、という事を繰り返していた。
三人の吐息は途切れる事なく響いており、その合間に小さな呻きとも喘ぎとも取れる声も入り混じる。
「ああ………好いなぁ…随分と上手になってきたぞ…」
「では、次は俺も犯してもらおうか……若月だけでは終わらせぬぞ?」
「んあぁぁ…っ! はぁ…はぁ……っ…二人とも……すごい…っ…やらし過ぎ…!」
三人の下半身が動く度に水音が響き、挟まれた面影の身体はどんどん限界へと追い詰められていく。
「あ…っ……やぁ……もう、射精る……っ、射精ちゃう…っ!!」
今も身体に走る快感を少しでも長く味わいたくて腰の動きを抑えたいのに、そんな事はさせないとばかりに若月の秘肉がこちらの肉棒に絡みつき、うねる一方で、眉月もまた、より強く激しい動きを誘う様に背後から自分の好いところを狙って突いてくる。
「さぁ、射精せ……俺の内に全部……!」
「ふふ、射精した分、俺のをたっぷり注いで補充してやるぞ?」
「んあああっ! いっ、いく、いくっ! 達くうぅぅぅっ!!」
本能に押される様に、どちゅっ!と強く若月の最奥に肉刀を突き立てると同時に、腰の奥から奔流が先端に向かって流れ出すのを感じ、面影は目を閉じた。
びゅるるるっ!! びゅるっ、びゅるっ…!!
「ん……はぁぁっ! 来い、もっと…!」
注がれる若者の樹液を奥に感じながら、若月も恍惚の表情でそれを受け入れつつ自らの樹液を繰り返し放つ。
そして眉月も息を詰め、ぐりりっと面影の奥の奥まで肉楔を押し挿れて熱い精を流し込んだ。
「俺も達くぞ……全て受け止めよ…!」
「ひ、あっ! ああぁぁ〜〜〜っ!」
犯し、犯され、注ぎ、注がれ、達かし、達かされる……!
(いっ、いけないコトなのに……たまらなく、気持ち好い……だめ、これ以上は身体が覚えてしまう……! 忘れられなくなったら、もう戻れなく…っ)
引き返さないと……でも、それは本当に自分の本心からの望み?
本当に、引き返したいと…思っている?
本当は、もっともっと快楽の坩堝に踏み入れたいと、そう思っているのでは…?
「お前もなかなかの味だったぞ…面影」
「さぁ…もっと俺達と遊ぼうなぁ…」
自問自答の答えを出す暇も与えられず、面影は若月と眉月からその繋がりを解かれ、ぺたんとその場に座らせられた。
相変わらずその足場は雲の様に白く羽毛の様に柔らかな触り心地だったが、その正体は依然分からない。
神域にのみ存在出来るものなのかもしれないが、今の面影にはそれについて考える余裕など一縷もなかった。
「ん………あ……っ」
素直に傅く面影の両の胸の蕾に、ほんの少しだけ元気を失った雄の先端たちが押し付けられる。
ぬるりと濡れた肉の感触を敏感な場所に押し付けられ、繰り返し擦り付けられ、その様を目の当たりにした面影の口から艶めいた喘ぎが漏れる。
確かに肌から伝わる感触も快感を与えるものだったが、今この時はこの淫らな景色の方が寧ろ興奮を呼び起こすものだった。
初めての体験ではないが、こうされていると改めて三日月一人ではなく、『二人』に犯されているという背徳感が増してくる。
(すごく……いい…っ……二人に、こんな恥ずかしいことされてるのに………嬉しくて…もっと……弄ってほしいって……)
元々色素の薄い肌を持つ面影は、胸の突起の周りも薄い桃色だったが、男達の分身に執拗に責められている今はすっかり充血しており、主の興奮を示す様に大きく固く育っていた。
言葉でどんなに否定しようと、この身体の変化を見られてしまっては最早申し開きも立たないだろうが、当人の面影はそんな事など思いもつかず、二つの小さな果実が雄刀に嬲られている様を凝視しながら甘い喘ぎ声を漏らしていた。
「ん、あ…っ……あっ……ふ、たりの…精液……そんなに強く……塗り込めたら……あぅ……」
「うむ、とても淫らで美しいぞ……」
「嫌とは言うまい? 自ら胸を押し付け、おねだりまでしているのだから」
くちっ……
「はぁっ…!」
徐に胸の蕾全体が何か柔らかなものに包まれた感触と同時に、目前でその蕾が見えなくなる。
「うあ……あ…そんな……乳首が……オ〇ン〇ンの内に……っ!」
二つの楔のそれぞれの零口の内へと蕾が呑み込まれ、全周性に敏感な皮膚が肉壁に圧されていた。
(どうしよう………私の乳首が二人のオ〇ン〇ンを犯してる?………っ…で、も…これって……乳首が、食べられてる様にも………あ、私は…何を考えて……っ)
面積としては微々たる範囲の場所であるにも関わらず、意識も視線も逸らす事が出来ず、そこから伝わる悦楽の波に抗う事も出来ず………
座した姿でただひたすらに蹂躙されて快感を享受するだけの中、身体はひたすら素直に反応し、萎えていた己の雄もまた見る見る内に勃ち上がっていく。
(これって……今日はいつもよりずっと身体が欲しがってる………さっきのも…すごく好かった…)
犯して犯されるあの快感を思い出しているところで、彼の分身の反応で察したのか、眉月が問いかけて来た。
「面影……先程の…また『したい』か?」
「っ…!」
心の声を読まれた様で一瞬びくんと肩を震わせた若者だったが、問いに逡巡する前に身体が勝手に相手に応える様に頷いていた。
「う、ん…………また…したい…」
素直な若者の言葉に、若月も乗る形で眉月の方へと向き直って言った。
「そうかそうか、では次は眉月の身体を仕込まねばなぁ……折角の逢瀬なのだから、しっかりと可愛がって貰うがいい」
「全く……同じ分身の俺が言うのもおかしな話だが、お前もなかなか良い性格だな」
眉月も水を向けてきた若月に対して溜息を零しながらも、その提案そのものは拒むつもりはないらしく、こちらを見上げて来る面影に改めて問い掛ける。
「さて……では次は、どの様な形で愉しもうか…? 俺を抱いてくれるのだろう?」
「……………」
熱病を患う患者の様にぼんやりと二人を見上げていた面影は、それには言葉では応えず眉月を押し倒す事で答えとする。
そして、そのまま眉月の両脚を抱え上げ、膝立ちになった自身の双肩に掛けながら前傾姿勢を取るという実に大胆な動きを見せた。
そうする事によって、眉月の下半身はほぼ彼自身の腹部に密着する状態となり、股間の全ての秘部が面影の目前に露わになった。
「……っ」
三日月の分身なのだから、その姿が彼そのものを象っているというのは分かる。
その蒼の付喪神が、今、自分の目の前でこんなふしだらな姿を晒しているという事実に、面影は小さく息を呑んだ。
「おや……流石にこれは少々面映ゆいが、いつもの仕返しという事かな…?」
面映ゆいとは言いながらも全くそんな素振りも見せず、されるがままに面影を見返してくる男は、寧ろ早くしろという様に脚に力を込めて面影の上半身を引き寄せてすらくる。
この男はきっと愛し合う事に対しても絶対の自信があるのだろう……この自分とまぐわう事に逡巡など持たず、間違いではないと確信している。
(……応えたい)
その方法は言葉ではなく行動で……相手の身体に悦びを与える事で返さなければ………
「ん……っ」
「っう…ん……」
獣が水を飲んで喉を潤す様に、面影が舌を使い目の前の頑なな蕾を慰め解してゆく。
あからさまな声ではないが、搔き消せぬ程度に響く若月の艶声が更に若者の欲情を煽り、舌の動きをより速めていった。
「……ふふ、では俺も愉しむか」
二人がそうして戯れていると、面影の背後から若月が身を寄せ、再び彼の胸に手を這わせて突起を中心に愛撫を施していく。
そして同時に己の楔を面影の双丘の狭間に挟み込み、粘液の助けを借りて繰り返し擦り上げた。
「く………はあぁ…っ」
三人はそうして暫しの間、行為に耽り、各々の身体を再び『臨戦態勢』へと導き、導かれていったが、もう十分に眉月の秘孔が解れたところで先ずは面影が行動を起こす。
「…っ、眉月……挿れるぞ…」
眉月の折り曲げられた身体の腰から下を自分側に向けさせながら、同時に自らの腰を前に進めて柔らかく解した蕾に肉棒を押し当てる。
「…ああ……俺ももう欲しいと思っていたところだ…」
相手に断りを入れる前に腰を進めたいと願う程に激しい欲情を抱いていた若者だったが、流石にそんな無体を働く事はしなかった。
しかし、その相手から誘う様な形で許しを与えられたなら、もう止まる事は出来ない……
「ふ、う…っ!」
ずぐぐ……と肉棒を奥へ奥へと押し進めると、柔らかくもきつい締め付けを与えて来る肉壁が迎えてくれた。
「きもちいい……眉月…」
じゅぷ……っ!
「はああぁっ…!! あっ…若月……そんな急に…っ!」
「ふふふ…」
眉月を犯す快感に震えていたところにいきなり背後から挿し貫かれ、再び相対する快楽に挟まれた面影が後ろを振り向くと、自分が犯している男と同じ顔の男が嬉しそうに笑っている。
もしかして、眉月を貫いた時、自分も彼の様に笑っていたのだろうか………こんな雄の顔をして……
では、今の自分はどんな顔をしている…? 雄の顔か…雌の顔か………
「うあ…っ…あっ、あうっ…だめ…わからなく……なるっ……」
「ふむ…? 何が、だ…?」
前後から聞こえる肌がぶつかり合う音に混じっての若月からの問い掛けに、朦朧としながらも面影は答える。
「わ…たしが……三日月の……雄、なのか……雌なの、か………」
「!!……さぁなぁ…」
一瞬、大きく瞳を見開いた若月だったが、一度は曖昧な答えを返す。
そして、それを切っ掛けにより激しく腰を打ち付け始めた。
「んあああっ! あっあっああっ…!! わかつきぃっ!!」
「少なくとも、お前との逢瀬の時にそんな些末な事は考えぬ……男でも女でも、俺はお前だけを愛しただろう……」
「!!」
若月の告白とも取れる台詞に身体が震える…と同時に、淫肉に包まれていた自らの分身が精を搾り上げられる様に強く締め付けられる。
「くぁ…っ」
それを為した目の前の男が、悪戯が成功した少年の様な目を向けて笑う。
「俺の内をこんな立派なもので乱しておいて………そら、しっかりと雄である事を思い出させてやる…」
きゅうぅぅ……っ
「ふあぁぁっ…! まゆつき…っ…好いぃっ!!」
より一層二人の責めが激しくなった事で、面影の身体は前後に妖しく揺れ、その嬌声も艶っぽさが増していった。
「はぁっ! はぁぁっ! あ、あっ…! 好いっ!! もっと…二人とも、もっと…してっ…!!」
「……愛しいお前が望むのならば」
「うむ……幾度でも達かせてやるぞ」
どちらをどちらが言ったのかも分からない程に朦朧としている若者の理性の枷から外れて、彼の肉体は従順に快楽に従い動く。
眉月にはより強く楔を打ち立て、若月の楔には激しく絡みつき、思うままに貪る姿は普段の引っ込み思案な彼とは程遠い、貪欲な獣のそれだった。
美しい神々が与える恩恵を、野生の本能で食い散らかす獣………
しかしそれは見方を変えれば、美しき魔神達が己の肉欲を満たす為、哀れな生贄を引き寄せて貪る残酷な罠の様にも見えたかもしれない。
生贄は、己にも与えられる快楽に埋もれ、自身が生贄だという事実にも気付かずに神に奉仕するのだろう………しかし、それでも彼は幸福なのだ……今の面影の様に。
そんな飢えた獣もそろそろその腹が満たされてきたのか、声は引き攣れ、全身の上気した肌からは涙の様に汗が噴き出し、腰の前後から響く音は絶え間なく続いていたが……
「うああ…っ!! い……っ!!」
二神の施しに堪えられなくなった身体から、快楽の波が外に溢れ出す様な感覚に面影はきつく瞳を閉じた。
「あ、あ~~~っ!!」
どくんっと腰に甘く重い衝撃が走り自らが射精したのだと認識した時には、既に三度程、精の弾を放っていた。
しかし……
(あ………私だけ……達って、しまった……?)
自らを包む淫肉の持ち主と、身体の内を侵略している楔の持ち主は、共に絶頂に達する機会を逸した様に依然硬度を保っており、まるで抜け駆けしてしまった様な罪悪感を感じてしまう。
「す、まない………あのっ……私だけ…」
謝罪の言葉を待たず、先ず動いたのは若月。
面影と繋がったままにその上体を抱き抱えて起こしたかと思うと、次には両の膝裏に腕を潜らせ、自分が立ち上がると同時に若者の両脚を大きく開いた形で前に抱き抱えた。
「ああ…っ!!」
眉月側から見たら二人の接合部が露わになる体勢であり、姿勢が変わっても面影の秘蕾は美味しそうに若月の肉楔を咥え込み、時折痙攣を繰り返している。
(や、やだ………眉月が…見てる…っ)
きっと若月も相手に見せつける為にこんな事をしたのだろうと思っても、両脚を封じられた様な今の状態では碌に隠す事も叶わない。
「あ……眉月…っ…」
見ないでほしいと言葉に乗せる前に、眉月が立ち上がり、自分達に密着する様に身を寄せて来る。
「え……」
当惑する面影に更に肌が触れ合う程に身を寄せると、眉月が微笑みながら指先で若月と面影が交わっている箇所をゆっくりとなぞってきた。
「あ、ん……」
「……俺も、こちらで達かせてもらうか…」
「え………あっ…!」
相手の一言で、過去の記憶が鮮明に蘇る。
去年、二人に初めて愛された時に彼らの剛直を自身の秘蕾で受け止め、内を押し広げられ、擦り上げられ……啼き狂わされた記憶……
三人の姿勢こそ違えど、この状態は正にその時の行為をなぞらえる様であり、何より今、眉月の固くなった先端が接合部の隙間に押し当てられている事こそがこれから起こる事象を暗示していた。
「あ……そんな……っ」
止める言葉を言うつもりが、何故か言えなかった。
二人に止められた訳ではなく、勝手に唇が動くのを止めてしまったのだ。
身体の望みが、本人の意思に逆らい、拒否の言葉を封じてしまった様に………
「さぁ……いくぞ?」
優しい言葉とは裏腹の、凶悪な程に固く大きな質量が肉襞の隙間を強く押し広げ、侵入してくる。
過去に一度経験済みとはいえ、やはり久し振りという事もあり、面影の表情には期待よりも不安の色が強く滲んでいた。
「そう心配するな……俺達の独り善がりで愉しむつもりはないぞ」
「力を抜いて……そうだ…」
二人に包まれながら優しく囁かれ、面影も少しずつ少しずつ緊張の糸を解いていき、それに伴い隙間に入り込んでいた眉月の肉棒が若月のそれを追う様に奥へ奥へと姿を消してゆく。
「ん……んっ…あ、挿入って、くる………まゆ、つきの……や、ん…っ…若月のも…もっと、おっきく……!」
ずりゅ…ずりゅ…っと少しずつ挿入り込んでくる眉月の肉棒は、面影の肉壁だけではなく触れ合う若月の肉棒も刺激する形となり、図らずも相手の容積を更に成長させる事になった。
「ん……ふふ…やはり好いな…」
「ああ……ほら、もうすぐ根元まで挿入るぞ…」
「あっあっ……! そんな強くきちゃ……っ……あっ、奥まで、ひび、くぅ…っ!」
ぐちゅっずちゅっと秘穴から淫らな音が響いてくるのに合わせて、内襞が勝手にひくつくのを感じる。
背中側のものが若月…そして腹側のものが眉月………その二本が同時に奥を突いたかと思えば、今度は交互に互いを擦り合わせながら肉壁を刺激して……
いよいよ面影は快楽の虜となってゆき、淫らな望みを声に乗せた。
「あ、あ………好い…好いっ! 二人とも……もっとしてっ! もっとつよく、いっぱい……奥まで擦って、犯してぇ…っ!! ほしっ……オ〇ン〇ン欲しいぃ……っ!!」
愛しい男の希求に、月の美神達は求められるままに幾度も悦楽の導きを最奥に刻んでゆく。
「素晴らしい……何と素直で淫らな身体…」
「やはり、俺達を満たせるのはお前だけだ…面影…!」
「ひっ……! ひぁあ、んっ……!!」
言葉こそ聞こえるものの、既にこの時には三人ともが獣の如き交わりに耽っており、それ以降は最早その言葉さえも聞こえなくなった。
熱い吐息と、嬌声。
粘膜が擦れる音と肌がぶつかり合う音。
それらを聞きながら、面影はいよいよ今までで最も大きな波が自分を襲おうと迫っている事を感じていたが、最早抜け出す事は叶わない。
身体を拘束され、二本の肉棒に貫かれ、生み出される絶え間ない快楽は若者の身も心も悦ばせるだけ……
「は……っ…はぁ…っ! あっ、来る、くる…っ!! 大きいのが……っ、あっ! すごいの……来るぅ…っ!!」
悲鳴に近い訴えを聞いても、若月と眉月は責めを止める事無く、寧ろより激しく面影を犯し始める。
そんな二人の顔にも澄んだ汗が幾筋も流れ、彼らもまた『その時』が近いと認知していた。
「面影……共に…な…?」
「さぁ……溶け合おう…」
そして、二人が同時に楔で面影の柔肉を押し広げて秘められていた最奥をこじ開け、更にその先へと届く様に生の証である白濁を放った瞬間、面影もまた眉月と己の肌を熱く穢す様に樹液を放っていた。
「あああああ~~~っ!!」
本当に溶かされるかの様な感覚に震えながら、面影は意識が混濁し、深淵へと沈んでいくのを自覚する。
今日、幾度も二人と戯れ、交わった疲労に、肉体が耐えきれなくなったのだろう。
長い禁欲を経てのこの遊戯は、身体にも刺激が強すぎたのかもしれない……
「あ……ん……っ」
意識が遠のいていくのに、体内で奥を穿つ奔流の勢いだけはまだ鮮烈に感じられる……
不思議な感覚だ……とぼんやりと思いながら、遂に面影は意識を手放し、くたりと二人に挟まれたまま脱力した。
「はは………見事な達きっぷりだな…」
ずるりと力を失った楔を引き抜きながら眉月が笑う前で、面影の秘蕾からとろりと白濁の残渣が零れ落ちてゆく。
若月は無言のままに面影をその場に横たえ、そっと優しくその頬を撫でた。
それをひたすら繰り返す分身に何か思うところがあったのか、眉月が首を傾げながら問う。
「………何を、考えている?」
「…おそらくはお前と同じ………いや、『三日月宗近』と同じ事を……」
「……………」
「面影のあの言葉…………此処ならば……そして俺達が元の『三日月宗近』に戻れば……その神域ならば…」
「……そうだな」
何かを画策しているもののそれをまだ実行に移すか否かを決めかねているらしい二人の同じ姿形をした神々は、少しの間、横たわる想い人を見下ろしていた。
そして、暫しの休息の後、面影は当然ながら目を覚ますのだが、その時に三日月宗近によってもたらされた己の身の『大事』を知る事になる…………